群青の海 磐城 葦彦
群青の海 磐城 葦彦
ざわわ ざわわ ざわわ
風が 次第に 強くなってきた
ざわざわ ざわざわ と
森山良子の歌声が わたしの耳もとで
高鳴っている
ここは 沖縄
わたしにとって大事な友人の島
亡くなられてから 数年になるというのに
いつまでも 忘れられない
彼は 平和を求めては 基地に反対し
たたかいのなかで倒れたが
その気持ちは わたしのなかで同化し
燃え上がっていく炎は変わらない
あの日 鉄の鳥たちが 鉄の魚たちが
数え切れないほどの数でやってきた
鉄のかたまりで 島は冒された
いまだに そのかたまりは 島のあちこちに
存在してはひとびとをおびやかしている
鉄は熱く焼けただれた大地を
これでもか これでもか と 焦土と化し
ついには 鉄条網で囲っては
島をじゅうりんした
美しかったジュゴンのすみかはいずこか
熱帯魚で満ちていたサンゴ礁の森はいずこか
ざわざわ ざわざわ ざわわ
サトウキビ畑をわたっていく風よ
風は すべてを 知っている
わたしは クロザトウをなめながら
群青の海を眺めてはつぶやく
わたしも風になりたい と
天高く渡って行きたい と
京浜詩派 第220号(2017.12)より
ざわわ ざわわ ざわわ
風が 次第に 強くなってきた
ざわざわ ざわざわ と
森山良子の歌声が わたしの耳もとで
高鳴っている
ここは 沖縄
わたしにとって大事な友人の島
亡くなられてから 数年になるというのに
いつまでも 忘れられない
彼は 平和を求めては 基地に反対し
たたかいのなかで倒れたが
その気持ちは わたしのなかで同化し
燃え上がっていく炎は変わらない
あの日 鉄の鳥たちが 鉄の魚たちが
数え切れないほどの数でやってきた
鉄のかたまりで 島は冒された
いまだに そのかたまりは 島のあちこちに
存在してはひとびとをおびやかしている
鉄は熱く焼けただれた大地を
これでもか これでもか と 焦土と化し
ついには 鉄条網で囲っては
島をじゅうりんした
美しかったジュゴンのすみかはいずこか
熱帯魚で満ちていたサンゴ礁の森はいずこか
ざわざわ ざわざわ ざわわ
サトウキビ畑をわたっていく風よ
風は すべてを 知っている
わたしは クロザトウをなめながら
群青の海を眺めてはつぶやく
わたしも風になりたい と
天高く渡って行きたい と
京浜詩派 第220号(2017.12)より