裁判長 聞いて下さい 梅津 弘子
裁判長 聞いて下さい 梅津 弘子
東京地裁前 白髪まじりの集団が朝早くから集まる
箱根から 三浦半島から
電車 バスを乗り継いで 霞が関にきた
この歳で 裁判の原告になるなんて
老人たちは 怒りに燃えている
小柄な委員長が 年金減額憲法違反と叫ぶ
330人が傍聴券を求めて並ぶ
ざわめく法廷に 裁判官が入廷
一瞬 静かな空気がながれ
戸惑う老人たちに
弁護団長 「年金は財産権」と勇気づける
「裁判長」 加藤原告団長の声が法廷内に響き
原告の陳述が始まる
老いていく身に 国の酷い仕打ち
切々と 訴える
原告団長の 肩を 何万という
高齢者の悲鳴が支える
田中原告も
夫亡き後 病気になり
月額四万八千円の年金で生きていけず
家を担保にして生活している と
傍聴席の老人たち 禁じられているが思わず 拍手
それを制止されることもなく 陳述がおわり
裁判長は 二人の原告に ご苦労様
ねぎらいの言葉
その言葉は 裁判長の心の声だろう
百年安心 と言った あの大臣の顔が浮かぶ
その政権の下で どんな判決がでるだろう
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より
東京地裁前 白髪まじりの集団が朝早くから集まる
箱根から 三浦半島から
電車 バスを乗り継いで 霞が関にきた
この歳で 裁判の原告になるなんて
老人たちは 怒りに燃えている
小柄な委員長が 年金減額憲法違反と叫ぶ
330人が傍聴券を求めて並ぶ
ざわめく法廷に 裁判官が入廷
一瞬 静かな空気がながれ
戸惑う老人たちに
弁護団長 「年金は財産権」と勇気づける
「裁判長」 加藤原告団長の声が法廷内に響き
原告の陳述が始まる
老いていく身に 国の酷い仕打ち
切々と 訴える
原告団長の 肩を 何万という
高齢者の悲鳴が支える
田中原告も
夫亡き後 病気になり
月額四万八千円の年金で生きていけず
家を担保にして生活している と
傍聴席の老人たち 禁じられているが思わず 拍手
それを制止されることもなく 陳述がおわり
裁判長は 二人の原告に ご苦労様
ねぎらいの言葉
その言葉は 裁判長の心の声だろう
百年安心 と言った あの大臣の顔が浮かぶ
その政権の下で どんな判決がでるだろう
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より