私の中の地球 荒波 剛
私の中の地球 荒波 剛
私の体の中で地球が動いていた
立ち止まると大変な速度であった
あの日突然の痛みで立てなくなって
気が付くと私を置き去りにして
涼しい顔で時を刻んでいた地球
私の大地には人が居なくなった
背中に4回の注射をうち
2種類の飲み薬が処方され
強い眠気が全身を引き込んで行く
丸々50日壁づたいで移動して暮らす
医院に通うがすぐ道にしゃがみ込む
親切な方々からは声を掛けられた
発症60日が過ぎた頃 痛みが緩んで
時々脱力感の襲う脚が萎えては大変
筋力を付けようと意識し始めた
体だけではない 心も狭まっている
自分が役に立てない 哀しさと怖れ
体の中の地球が どんどん自転する
空港はどこに? 着陸したい
外に出て歩いてみた 一日千歩
二千歩 三千歩までやって来た
帰宅して 横になると睡ってしまう
少しづつ時間は遅くなり 痛みは和らぐ
あそこが着陸点だろうか?
腰・腿・ふくらはぎがしっかり脚を支え
滑走路に降り立つ時 私の地球はどれだけ
回ったか 楽しみだが心配でもある
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より
私の体の中で地球が動いていた
立ち止まると大変な速度であった
あの日突然の痛みで立てなくなって
気が付くと私を置き去りにして
涼しい顔で時を刻んでいた地球
私の大地には人が居なくなった
背中に4回の注射をうち
2種類の飲み薬が処方され
強い眠気が全身を引き込んで行く
丸々50日壁づたいで移動して暮らす
医院に通うがすぐ道にしゃがみ込む
親切な方々からは声を掛けられた
発症60日が過ぎた頃 痛みが緩んで
時々脱力感の襲う脚が萎えては大変
筋力を付けようと意識し始めた
体だけではない 心も狭まっている
自分が役に立てない 哀しさと怖れ
体の中の地球が どんどん自転する
空港はどこに? 着陸したい
外に出て歩いてみた 一日千歩
二千歩 三千歩までやって来た
帰宅して 横になると睡ってしまう
少しづつ時間は遅くなり 痛みは和らぐ
あそこが着陸点だろうか?
腰・腿・ふくらはぎがしっかり脚を支え
滑走路に降り立つ時 私の地球はどれだけ
回ったか 楽しみだが心配でもある
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より