立ち飲み屋で ひとり 洲史
立ち飲み屋で ひとり 洲史
一番安い日本酒 常温
それと もつ煮 豆アジの唐揚げ 冷やしトマト
合評会の後 ひとり
見知らぬ人たちの喧騒のなか 日本酒をすする
「事実の羅列 詩の言葉がない」
尊敬する詩人の言葉に ぼくはうなずく
「幸せな日常と不幸な出来事の対比は類型的」
心に染みる詩を書く詩人の言葉に ぼくはうなずく
うなずきながら ぼくはつぶやく
一九七七年九月二七日のことは忘れられない
横浜市荏田 アメリカ軍軍用機墜落で殺された三人
康弘ちゃん一歳 裕一郎ちゃん三歳 母親和枝さん
パラシュートで脱出したアメリカ軍兵士を
アメリカ軍と自衛隊は 第一に救出した
そのジェット機の墜落の音を聞いた
雨で順延された月曜日の運動会の日だった
ジェット機なら ほんの数秒の誤差
ぼくの学校の運動会に 墜ちたのかもしれない
詩人たちの言葉にうなずきながら ぼくはつぶやく
できれば詩の言葉で書きたかった
あれから四〇年 ジェット機の音は今もうるさい
詩の言葉を求めながら 安い酒をあおる
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より
一番安い日本酒 常温
それと もつ煮 豆アジの唐揚げ 冷やしトマト
合評会の後 ひとり
見知らぬ人たちの喧騒のなか 日本酒をすする
「事実の羅列 詩の言葉がない」
尊敬する詩人の言葉に ぼくはうなずく
「幸せな日常と不幸な出来事の対比は類型的」
心に染みる詩を書く詩人の言葉に ぼくはうなずく
うなずきながら ぼくはつぶやく
一九七七年九月二七日のことは忘れられない
横浜市荏田 アメリカ軍軍用機墜落で殺された三人
康弘ちゃん一歳 裕一郎ちゃん三歳 母親和枝さん
パラシュートで脱出したアメリカ軍兵士を
アメリカ軍と自衛隊は 第一に救出した
そのジェット機の墜落の音を聞いた
雨で順延された月曜日の運動会の日だった
ジェット機なら ほんの数秒の誤差
ぼくの学校の運動会に 墜ちたのかもしれない
詩人たちの言葉にうなずきながら ぼくはつぶやく
できれば詩の言葉で書きたかった
あれから四〇年 ジェット機の音は今もうるさい
詩の言葉を求めながら 安い酒をあおる
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より