ハノイ 宮田 京之亮
ハノイ 宮田 京之亮
この街はいつも
煮詰まった単車で溢れ返ったフォーのよう
唐辛子のように紅い布地に星ひとつ
べっとりとベトナム国旗垂れ下がる
細い路地裏の朝でさえも
騒音の群れは果敢に煮詰まって行く
白いアオザイの少女たち
湯気のように笑いたゆたい
辺り一面に立ち込めたかと思うと
海月のようなノンラー 放り投げ
一人一人と、沈黙の海原へと消えて行った
解放戦線、南ベトナム、山岳少数民族
みな田んぼの泥を這うように煮詰められ
湯に飛び込んだ羽虫のように殺されて行った
夕空、畦に刻まれた「自由」
突進する水牛の群れ
水面に滲じむ血液
「支援」国家たちのドミノ遊び
*フォーは、ベトナムの米粉で作った平たい麺
*ノンラーは、ラタニアの葉で作った円錐形の帽子
ハノイ 宮田 京之亮 京浜詩派 第218号より
この街はいつも
煮詰まった単車で溢れ返ったフォーのよう
唐辛子のように紅い布地に星ひとつ
べっとりとベトナム国旗垂れ下がる
細い路地裏の朝でさえも
騒音の群れは果敢に煮詰まって行く
白いアオザイの少女たち
湯気のように笑いたゆたい
辺り一面に立ち込めたかと思うと
海月のようなノンラー 放り投げ
一人一人と、沈黙の海原へと消えて行った
解放戦線、南ベトナム、山岳少数民族
みな田んぼの泥を這うように煮詰められ
湯に飛び込んだ羽虫のように殺されて行った
夕空、畦に刻まれた「自由」
突進する水牛の群れ
水面に滲じむ血液
「支援」国家たちのドミノ遊び
*フォーは、ベトナムの米粉で作った平たい麺
*ノンラーは、ラタニアの葉で作った円錐形の帽子
ハノイ 宮田 京之亮 京浜詩派 第218号より