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友の誘い   梅津 弘子 (京浜詩派217号より)

友の誘い   梅津 弘子


初冬のある日 徳島の俳人から
ラオスにいく 羽田で会おう
と 短いメール
老いても 好奇心パンパンの彼女
今度は ラオスか
軽い気持ちで ラオス行きに乾杯

終活で 身の回りを整理
子も孫もいない
ふと 一つ何か残したい
そこそこ お金があるので
ラオスの子どもらに学校を と
五百万円をポンと出す
首都から離れた奥地
電気も井戸もないらしい
食べ物も 蛙 蟻スープ

ふと見る外の 日本の夜景に
ラオスの 暗闇を重ねる
日本にも 食べられない子もいる
ブラックバイトで 苦しむ学生も
そんな言葉を飲み込んだ

翌日 友は六人の仲間と発った
数日しても メールが来ない

旅の疲れで高熱で床に臥せていた
蛙は たべられなかった
蟻は 一匹飲み込んだ
でも 子どもたちの目がキラキラしていた

開校式には 一緒に行こう との
誘いの返事 まだ 出せない

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

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