ものみなが消されていく街で 比嘉名 進 (京浜詩派216号より)
ものみなが消されていく街で 比嘉名 進
―この街に移り住んで すでに 三十六年
けれど この街では、人知れず
「シャッター通り」とか 呼ばれて
ものみなが 消えていく 場所が ある
地域の「子どもらのために」と
最後まで 意地を張り ついには 力尽きて
この街を 離れて行った …世界一小ちゃな
“文具屋 ”の おばちゃん !
―この街に移り住んで すでに 三十六年
けれど この街では、人知れず
最初に姿を消していったのが 映画館 。
そして 大きな お風呂やさん (=銭湯 !)
誰もが 気軽に立ち寄れた 喫茶店 。
次から次へと… その後も… 誰かによって
しずかに 消されていった 小売店の数々がある!
愛想が 別品だった 花屋の おばさん。
一冊なのに すぐに届けてくれた 本屋のおじさん。
冷蔵庫や テレビの 配達をする ついでに
ちょっとした配線の知識を …子どもたちにも 、
親切に教えてくれた 電気屋の おやじさん 。
この街きっての「世話役」で 話し好き、
夫婦仲の良さも抜群だった 床屋の おじさん 。
―この街に移り住んで すでに 三十六年
いつもと同じ 我が家への ちょっとした帰り道
僕は ふと思い出す、「シャッター通り」の四つ角で 。
―この街に移り住んで すでに 三十六年
あの日々を生きた人々は 今も健やかだろうか?
あの日々を生き この街で育った わが家族
僕の息子たち …僕の娘… そして 僕の妻よ!
あの懐かしい日々よ 悔しいけれど さようなら
あの思い出をくれた みなさん―心から有り難う 。
―この街に移り住んで すでに 三十六年
けれど この街では、人知れず
「シャッター通り」とか 呼ばれて
ものみなが 消えていく 場所が ある
地域の「子どもらのために」と
最後まで 意地を張り ついには 力尽きて
この街を 離れて行った …世界一小ちゃな
“文具屋 ”の おばちゃん !
―この街に移り住んで すでに 三十六年
けれど この街では、人知れず
最初に姿を消していったのが 映画館 。
そして 大きな お風呂やさん (=銭湯 !)
誰もが 気軽に立ち寄れた 喫茶店 。
次から次へと… その後も… 誰かによって
しずかに 消されていった 小売店の数々がある!
愛想が 別品だった 花屋の おばさん。
一冊なのに すぐに届けてくれた 本屋のおじさん。
冷蔵庫や テレビの 配達をする ついでに
ちょっとした配線の知識を …子どもたちにも 、
親切に教えてくれた 電気屋の おやじさん 。
この街きっての「世話役」で 話し好き、
夫婦仲の良さも抜群だった 床屋の おじさん 。
―この街に移り住んで すでに 三十六年
いつもと同じ 我が家への ちょっとした帰り道
僕は ふと思い出す、「シャッター通り」の四つ角で 。
―この街に移り住んで すでに 三十六年
あの日々を生きた人々は 今も健やかだろうか?
あの日々を生き この街で育った わが家族
僕の息子たち …僕の娘… そして 僕の妻よ!
あの懐かしい日々よ 悔しいけれど さようなら
あの思い出をくれた みなさん―心から有り難う 。