帰り道 洲 史 (京浜詩派216号より)
帰り道 洲 史
今日も酔っ払って 駅から家への道を歩く
空には星
越後の山奥の冬空ほどの賑わいはないが
それなりの数の星が霞んでいる
駅出口を右に折れ
歩道橋を渡り ケヤキ広場
附属高校の校庭を左手に見る いつもの道
ぼくの前に若い女性
ちょっとヒールの高い靴 足音が響く
微妙な速度なので 追い越す力もなく
適当な距離を保って歩く
駅から ぼくの前を歩いていた女性は
高校の校庭が切れたところを左にゆく
それは ぼくの帰り道と一緒だ
酒屋の角を右に折れる それも一緒だ
そこから三軒先がぼくの家だ
ぼくが酒屋の角を右に廻った時
女性は ぼくの家の前から
ハイヒールの音をけたたましく立てて走り出し
二軒先を左に回った
ぼくは あわてて家に入り 鍵をかけ
見つからないように息をひそめたのだった
今日も酔っ払って 駅から家への道を歩く
空には星
越後の山奥の冬空ほどの賑わいはないが
それなりの数の星が霞んでいる
駅出口を右に折れ
歩道橋を渡り ケヤキ広場
附属高校の校庭を左手に見る いつもの道
ぼくの前に若い女性
ちょっとヒールの高い靴 足音が響く
微妙な速度なので 追い越す力もなく
適当な距離を保って歩く
駅から ぼくの前を歩いていた女性は
高校の校庭が切れたところを左にゆく
それは ぼくの帰り道と一緒だ
酒屋の角を右に折れる それも一緒だ
そこから三軒先がぼくの家だ
ぼくが酒屋の角を右に廻った時
女性は ぼくの家の前から
ハイヒールの音をけたたましく立てて走り出し
二軒先を左に回った
ぼくは あわてて家に入り 鍵をかけ
見つからないように息をひそめたのだった