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村は戦場だった  いだ・むつつぎ(京浜詩派216号より)

村は戦場だった  いだ・むつつぎ


キーン、金属音ひびかせ村の上空に
やってきたのは米グラマン艦上戦闘機
その姿は獲物をねらう猛禽類そっくりだ
米B29爆撃機、国鉄天竜川の鉄橋をめがけ
爆弾攻撃、爆弾はそれ田畑で爆発
ぼくは友だちと線路の土手に伏せて助かる
凄い爆風で屋根や塀に被害がでた

村に陸軍対空機関砲部隊がやってきた
大和魂の兵隊さん、グラマンをぶち落すぞ
ぼくら子どもたちは、そう話しあった
だが、実際は日ごとに違ってきた
百姓たちは連日の空襲で野良仕事ができない
ぼくらも空襲で学校に行けない
見つかれば機銃掃射で殺されてしまう

村に機関砲が八門あったのに
機関砲の発射音を聞いたことがない
グラマンは毎日のようにくると言うのに
何故だ、ぼくは幾ら考えても分からん
その頃、米軍艦砲射撃で鉄橋の橋脚に被害
列車は片側路線を使い何とか動いた

超低空のグラマン、風防を開けやってくる
米兵操縦士の赤ら顔がよくみえた
ぼくは押入れにあった空気銃を持ちだす
庭の木陰から操縦士の顔をめがけて撃った
おふくろが防空壕からとび出してくる
むつつぎや、危ないからやめろ……
それでもぼくは夢中で引き金をひいた



テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

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