南アルプス きみ あきら (京浜詩派 216号より)
南アルプス きみ あきら
時速五〇〇㌔
南アルプスを さらりと潜り抜け
夢の超特急リニア新幹線
東京大阪間をわずか一時間
航空機なみで走ります
虹色の夢が膨らむ
東京・名古屋・大阪間は身近な通勤圏
お国訛りが日々に溶け合い
七千万の人たちが交わり暮らす
おおらかな巨大都市が生まれます
絵空ごとが
国家予算の一割にもなる九兆円
政府は早くも認可
景気をあげようとエンジンをふかす
危ない借金での 相も変わぬ大型公共事業
喜んだのは財界 特に大手ゼネコン
約一六㌔トンネルを掘る東京外環道で
一、二兆円は当分稼げるとほくそ笑んでいた矢先
三〇年にも及ぶ公共事業なら倍近くは膨らむと睨む
虎視眈々 政治家への裏口が忙しくなる
南アルプスだけでも約五〇㌔のトンネル
掘崩せば地下水や河川が枯れ
膨大な残土の運搬で騒音・振動・排気ガス公害
その上南アルプスには活断層が数多いが
環境アセスはないがしろ
地震による災害時の乗客の安全確保
人の暮らしなどどこ吹く風
リニアは電気エネルギーの喰いつぶし魔
収支など一顧だにしないアベノミクス
またもや暴走し始めた