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生きるとは人間の存在様式である 小泉克弥

生きるとは人間の存在様式である
                 小泉 克弥



一篇の詩で政治が変わるほど
社会というのはヤワじゃない
しかし 一篇の詩が人の心に響くことはあるだろ
その心の波動がつながって行けば
社会も少しは身を震わせるかもしれない

生きるとは何だろう
生きるとは
意味づけしなければならないことなのか?

そうだ! 生きるとは
人間の存在様式なのだ
そして 生きとし生けるすべての者にとっての
おいしいすき焼きになる牛も 
今をひたすら生きている
野菜 果物 魚 すべて
命を受け 命を与え
生きるという循環を回っていく

マルクスは言った
生きるとは
食べること 着ること 眠る(住まう)こと
それが人間に価するものになっているか
全てはそこから始まるのだろう

こともなくやっているようだけど
生きるとは 大事業だ
今日があった 
だから明日もある
まだ死にゃーしない 
日々はそのように過ぎて行く 

しかし そののどかさは 今はもうない
あの頃は 自分+時流=フツウの生活だった
今の若者は残業残業で追い詰められ
「もうムリ」と 
自ら命を断って行く
なんでそんなことに?

1%と99%の貧富の差は なぜ拡大し続ける?
ピケティが語らない支配と被支配の関係が
『資本論』に明らかにされている

『資本論』が難しいのは
人生が難しいからだろう
しかし 生きる意志を握って放さなければ
語り合えるだれかがいれば
一日一日 その日を生きつなぐように
一頁一頁とページを繰って
終わりまでたどり着くことができるだろう
その時 人生は生きるに値すると
顔をあげて 明日に向かえるだろ




生きるとは人間の存在様式である  小泉 克弥  京浜詩派 第218号より
  

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

スーパーマリオ・アベ  洲 史 

スーパーマリオ・アベ  洲 史 

ぼくはエリートじゃないからね
何だって やるよ
リオオリンピックのスーパーマリオ・アベ
見てくれたかな
オリンピックの政治利用そのものだけど
サプライズだったでしょう
ほんの少し批判があったけれど
あれで支持率 上がったからね いっときだけど

スポーツの政治利用と言えば
背番号96のユニホームは 評判がよくなかった
でも 審判 安倍晋三に
投手 松井秀喜 捕手 原辰徳 打者 長嶋茂雄
絶好の舞台だったでしょう
プロ野球界も甘いね
沢村栄治投手など選手が戦争に行って
たくさんなくなっているのにね

ぼくのおじいちゃんは戦争には行かなかった
戦争で血を流すのは農民や労働者 一般国民さ
ぼくのおじいちゃんは偉かったからね
東條内閣の閣僚で 後ろで戦争の指示をしていた
敗戦で戦争犯罪人疑者として獄につながれたけど 不起訴だった 不起訴 それが大事
その後、首相になった 岸信介 おじいちゃん
安倍晋太郎 父上
佐藤栄作 おじ上
政界のサラブレッド と 言われるけれど
ぼくは エリートじゃないからね
挫折を繰り返してきた 
そこから這い上がってきた
だから 何だってやるよ

オリンピックの東京招致の時の
「福島は完全にコントロールできている」
この台詞 みんな 忘れてくれたかな
ついでに
「TPP絶対反対 ぶれない」の公約も
忘れてくれないかな
ネットで蔓延しちゃって困ってるんだ

マスコミと言えば もう大丈夫だと思う
NHK会長はお友達だし
民放も新聞も 何度も何度も会食したし
放送免許更新は どこの所管かって
たまに言えば おとなしくなるでしょ
街頭インタビューも編集して放送するから
あからさまな政権批判はカットカット 

総理大臣がヤジを飛ばしたらいけないなんて
どこかに決まりが書いてありますか
常識だって 
常識なんて関係ないよ 
ぼくはエリートじゃないからね
何だって やるよ
いくら質問したって 最後は強行採決するんだから
「早く質問しろよ」ってね 正直でしょ
時には 名指しでヤジ飛ばすけれど 
闘う感じがしていいでしょ
答弁に困ったら
民主党政権時代のせいにしてしまえば
いいんだからね 簡単さ

ちょっと苦手は 池田さんかな
ないしょでお会いして仁義を切った 
利用して飲み込んでしまおうと思っていたけれど
逆に利用されて飲み込まれる気がした
でも 気に入らない人や団体に対する攻撃の仕方は見習うつもりさ
えげつなく えげつなく 徹底的に ね

海上保安庁、警察、自衛隊の諸君への感謝呼びかけ
よかったでしょう
あの時 
立って拍手しなかったやつはちゃんとメモしたよ
拍手が小さかったやつも短かったやつもメモした
言っておくけどね
権力には権力が集中するんだ
中途半端なやつらは 選挙で公認しないからね

前に総理だった二〇〇六年には
一九四七年制定された教育基本法を変えた
戦後五九年も変えられなかった
教育基本法を変えてやった 歴史に残るよ 
オレタチが作った教科書を採択しやすくなったと
仲間にも感謝された

自民党だけで衆院過半数
改憲勢力は三分の二以上
「朕は国家なり」の状態に近いよね
「ドイツのワイマール憲法は
 いつの間にか変わっていた。
 誰も気がつかない間に変わった。
 あの手口を学んだらどうか」
友だちも 励ましてくれるから
ぼくはもっともっと歴史に名を刻みたい
憲法改正 チャレンジしたいな

ぼくはエリートじゃないからね
何だって やるよ
そこのところ みんなわかっているのかな

(二〇一六年十二月)




スーパーマリオ・アベ  洲 史   京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

菜種梅雨        古久保 和美

菜種梅雨        古久保 和美

久しぶりのしとしと雨
今の季節だったら
菜種梅雨と歓迎される雨だ
ずっと晴れていたし
桜の開花を促すおしめり

心に雨が忍び寄る時って
多くは涙の変わり
悲鳴を上げかけている時
気を内にためて
自己を見つめ直す時
晴れの日のように
張り切って奮い立ち
風に乗ってふわりとも行かない

要求されていることに
前向きに返事ができるときはいい
結論が出せないとき
眠りが浅くなって 夜中に目覚め
夢の中で 青春時代の葛藤が苦しめる
人生の上り坂での選択と違う
いくつかたどってきた曲り角に来ている
背伸びして変身するには若くない
自分らしい生き方をする

今 役に立つ存在として自負できる
学習ボランティアに精を出している
今 自己を見つめながら詩作している
詩に目をつけられて
よからぬ思想の持ち主となって
子どもにかかわる仕事は取り上げられるか
就職の時の思想差別が頭をもたげる

しとしと雨は降り続いている
明日は晴
天気予報が告げている



菜種梅雨        古久保 和美  京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

雨    佐々 有爾

雨    佐々 有爾

「雨は詩にし易いですか?」と
オリーブの会 の人に訊かれた
気象の変化は
確かに詩にし易い、題材になる。
手っ取り早いのが雨だ
雪は湘南では滅多に降ってくれない。
北日本の人には脅威でもある。

昨日は雨の鎌倉 雪ノ下教会に行った。

夢でRolling stones のsoundについて分析した。
彼らはシンプルでいてとてもbeatの効いた
このrhythmをどこで身に着けたのか?
黒人でもないのに。

叔父さんみたいにアメリカに飛び出す人もいる
和を尊ぶこの国では革新的なコトができない。
違いを認めない大和人は意見を闘わすことを嫌う。
大人しいのが大人だと
つまらない大人が言う。
僕はつまらない大人にはなりたくないので
ガキ扱いで上等だが、忌野同様に
「まだ、ケツが青いのに」
と言われないように充分年取ってやった。

今週の土曜日 詩人の会がある
常識は必要だが、常識にとらわれていては
「発見」はない。
ただ僕は今は、若い頃の前衛芸術よりも
人生、四季について詠いたい。
大和人であればあるほど
Rolling stonesは冴えて聴こえる。
それは雨のように滴がある。


*横浜オリーブの会 カトリック教会の中の精神障碍者の会。




雨    佐々 有爾  京浜詩派 第218号より

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むかし草競馬が? ―馬頭観音   花水川物語208  府川 きよし

むかし草競馬が?  
   ―馬頭観音   花水川物語208    府川 きよし


むかし馬は 武家も農民も生活の一部
馬とともに 生活する人々の中に
馬の無病息災を祈る 民間信仰が生まれた
農家では農耕馬の
馬の産地では 生まれ育つ仔馬たちの
馬稼ぎの人々は
馬と歩む道中 安全を祈り
道半ばで 力尽きた馬の冥福を祈るため
急死した道端などに 馬頭観音が祀られた
交通安全の意味でも信仰され
馬頭観音の石碑は 各地に沢山作られた

十数年前まで 花水川の平塚大橋の下流
旭の徳延 下水ポンプ場近くの土手に
小さな馬頭観音の石碑があった
移動したのか いつの間にか見えなくなった
どこかに集められているのなら いいのだが

子どものころ 荷馬車や馬糞を見たことがある
東海道の電柱に 馬は手綱で結ばれていた
田んぼは牛が鋤を引いて 耕していた
土起しをする 馬もいたのを覚えている
牛馬の姿を身近で見なくなって 六十数年も経つ
いま馬は テレビの時代劇か
競馬の放送でしか 目に触れない

草競馬が開催されていた という古い噂を頼りに
以前見たことがある 馬頭観音の大きな石碑
それを探しに 夕方自転車で出かける
河口の右岸 大磯町東町三丁目の住宅地
かつて東町には 作家の大岡昇平が居を構えていた
ここは海抜三㍍ 平塚市唐ヶ原との町境い
馬頭観世音の 大きな石碑が見つかった
解説文が刻まれていた という記憶があるが…
空想が膨らんだだけで それはなかった
石碑の後ろ側に
中郡畜産組合の団体名が 横書きで一番上にあり
縦書きで平塚運送業組合 代表者の二宮幸太郎
世話人八名など 六〇数名の名前が刻まれている
蹄鉄工三名 牛馬業一名の名もある

手帳に書き留めていたら 碑の隣に住んでいる
老婦人が 声をかけてきた
 町会議員でもあった二宮幸太郎さんが
 戦前 病気や傷ついた馬を 引取り治していた
 この辺りは 海風が高麗山にあたり
 海の方に戻る風が 馬に良かった
 家は少なく 牧場のような原っぱで
 高麗山から流れてくる小川・三沢川まで
 広がっていた 今クレソンが生えている
 病気の軍馬もいて 「練馬場」とも言われていた
 以前は 北側のバス通り脇に石碑があった
 区画整理で 今の所に移動してきた
 二宮さんの住んでいた家の斜め前になる

古い地図に 運動場のトラックのようなマーク?が
この辺りに 記されていた記憶がある
小さな牧場の柵が あったのかもしれない
だが わくわくするような草競馬が 
開催されていた訳ではなかった
ここは むかし馬の療養所であった
聞いていた噂も 自分の記憶も怪しいものだ
現地を見聞 住民や古老の話を聞いて
資料を漁り 事実に近付くことが出来た



むかし草競馬が? ―馬頭観音   花水川物語208  府川 きよし  京浜詩派 第218号より

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命を守る   豊 公子

命を守る   豊 公子

あくびをしても目を開けても
一つひとつが家族の笑顔につながった
いつまで見ても飽きない
不思議な力を持って娘たちは生まれた
「生まれてくれて ありがとう」
そーっと「命」を抱いた

保育園を作って下さい
学童保育を制度化してください
運動をしながら暮らしてきた
保育園や学童保育
運動の中で知り合った仲間
学校やご近所の人たち
数えきれない多くの人の中で
娘たちは育った

二〇一六年七月二六日
ニュースに息が止まった
障がい者の命を奪い傷つけ
男は言い放った
「障がい者は不幸をつくる」

過去に似た響きの発言があった
元愛知県知事の
「いい遺伝子・悪い遺伝子」発言
元東京都知事にいたっては
「ああいう人たちには人格があるのかね」

私たちは許さない
事件と向き合い続ける
声をあげ続ける
私たちのしあわせ
それは「命」を守ることだ

あの日から半年が過ぎた

(ニュース「あつぎ・九条の会」17年2月号 初出作品)



命を守る   豊 公子   京浜詩派 第218号より
 

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詩と四っに         児丸 久

詩と四っに         児丸 久

相撲が大好きで
自分の詩を取りたい
四角い土俵の中で
見えない相手と
四つに組む私

差し手のモチーフ
踏み込むテーマ
もろ差しの発見
一気の寄りの感動と
土俵を思い描くのだが
然うは回しが卸さない
大方 取り直しになるか
独り相撲になる。




詩と四っに         児丸 久    京浜詩派 第218号より

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ジャンル : 小説・文学

母よ   千島 ミツ子

母よ   千島 ミツ子


「どうしてこんなになっちゃったんだろう」
ときどき母は言うようになった

「おっかあ、また濡れちゃったよ」
娘の私に向って母は叫ぶ
雪が明るい
きょう誕生日。九十三歳の赤ん坊

なのにヘルパーさんが来ると枕元の
「核兵器廃絶署名してくれませんか」
と 言ってくれていた

私ががんばらないでいられようか
明日も母たちと駅前に立とう




母よ   千島 ミツ子  京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

家に帰りたいが   きみ あきら

家に帰りたいが   きみ あきら

腕時計は 机から転げ落ちたのだろう
泥まみれになっていた
午後三時五九分を指して止まっている
六年前の三月十一日 津波に襲われた時刻だ

避難解除が決まった翌日 町に戻って見る
家は傾き どの壁も亀裂がひどく入り ぶざまだ
テレビ・洗濯機・冷蔵庫が横倒しになり
食べ物とネズミやハクビシンの糞で黴臭い
建て直しか 咄嗟に心身が堅く
冷水を浴びたようであった

道路は復興されたが
日々の食材に必須のスーパーは潰れたまま
病院の再開は難しいという
帰る準備希望の町民は五七〇人で人口の三%以下
これでは地域での暮らしが成り立たない

放射能汚染も気にかかる
持参した線量計で測ってみる
毎時0・24㍃シーベルトを示すではないか
雨水の溜まった所では5・0以上ある
正常値範囲地域の三倍近くから百倍を越えている
これで除染は済んだと言えるのか
依然と高く 帰れる数値ではない

妻と二人の子ども
帰宅を楽しみにしているが
重なった悪条件を話さねばならないか
仮設住宅への帰り
政府への怒りが俄かにこみあげて来る

さらに此の上 町民への避難解除は
賠償や支援の打ち切りとセットのようだ
長く悲惨な生活を強いられ
苦しみのどん底であえいでいる人々を尻目に
思わく付きの計画をくだす政府

町民不在の行政措置
政治への不信感と憎悪がつのるばかりだ




家に帰りたいが   きみ あきら 京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

ハノイ  宮田 京之亮

ハノイ  宮田 京之亮


この街はいつも
煮詰まった単車で溢れ返ったフォーのよう
唐辛子のように紅い布地に星ひとつ
べっとりとベトナム国旗垂れ下がる
細い路地裏の朝でさえも
騒音の群れは果敢に煮詰まって行く
白いアオザイの少女たち
湯気のように笑いたゆたい
辺り一面に立ち込めたかと思うと
海月のようなノンラー 放り投げ
一人一人と、沈黙の海原へと消えて行った

解放戦線、南ベトナム、山岳少数民族
みな田んぼの泥を這うように煮詰められ
湯に飛び込んだ羽虫のように殺されて行った
夕空、畦に刻まれた「自由」
突進する水牛の群れ


水面に滲じむ血液
「支援」国家たちのドミノ遊び


*フォーは、ベトナムの米粉で作った平たい麺
*ノンラーは、ラタニアの葉で作った円錐形の帽子

 

ハノイ  宮田 京之亮  京浜詩派 第218号より

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