「共謀罪」法案の国会提出に反対する!
「共謀罪」法案の国会提出に反対する!
安倍政権は今国会に「共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)」法案を提出しようとしている。
日本の現行刑法は、犯した犯罪を処罰する「行為原則」に立っているが、この法案は話し合いだけで処罰できるという、現行刑法体系の根本的な変更をもたらす重大な問題点を含んでいる。テロ防止については、殺人予備罪、内乱予備罪、凶器準備集合罪など五七の主要重大犯罪について、未遂以前に処罰できる制度となっている。
今回提出されようとしている法案は、戦前の治安維持法のように、個人の思想信条を侵害し、表現の自由、出版の自由を根こそぎ奪う危険が危惧される。戦前、絵の好きな少女が横須賀の港をスケッチしていたら、軍艦が描かれていたためにスパイ容疑で捕えられたことに、法運用の恣意性が如実に示されている。それがまた繰り返され、われわれの表現活動が国家の「取り締まり」の対象にされかねない。
思想信条の自由、表現・出版の自由を侵害しかねない「共謀罪」の国会提出に、詩を書く者として、断固反対する。
2017年2月18日
横浜詩人会議
私たち、横浜詩人会議は、2月の例会で話し合い、上記の声明を発表しました。
安倍政権は今国会に「共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)」法案を提出しようとしている。
日本の現行刑法は、犯した犯罪を処罰する「行為原則」に立っているが、この法案は話し合いだけで処罰できるという、現行刑法体系の根本的な変更をもたらす重大な問題点を含んでいる。テロ防止については、殺人予備罪、内乱予備罪、凶器準備集合罪など五七の主要重大犯罪について、未遂以前に処罰できる制度となっている。
今回提出されようとしている法案は、戦前の治安維持法のように、個人の思想信条を侵害し、表現の自由、出版の自由を根こそぎ奪う危険が危惧される。戦前、絵の好きな少女が横須賀の港をスケッチしていたら、軍艦が描かれていたためにスパイ容疑で捕えられたことに、法運用の恣意性が如実に示されている。それがまた繰り返され、われわれの表現活動が国家の「取り締まり」の対象にされかねない。
思想信条の自由、表現・出版の自由を侵害しかねない「共謀罪」の国会提出に、詩を書く者として、断固反対する。
2017年2月18日
横浜詩人会議
私たち、横浜詩人会議は、2月の例会で話し合い、上記の声明を発表しました。
マンチャ村一人旅 小泉 克弥
マンチャ村一人旅 小泉 克弥
1
コンスエグラ
永年行ってみたかった風車の町
ホテルのベランダに出ると
丘を登る道のてっぺんに風車が見える
憧れていた風景が現実になる
心せきながら 坂道を登る
空が澄んでいる
この深い青はなんだろう
空の底が透けて見えているのか
石積みの円筒形の躯体を白く塗り固め
黒いブリキの円錐帽をかぶって
黒塗りの木枠の羽根を四つ伸ばしている
なぜ ドン・キホーテは
風車に突撃したのか?
その狂気は
毎年ノーベル文学賞の頃になると
「ハルキスト」が寄り集まって
受賞という狂気に駆られるのに似ているだろうか?
「狂気」は 止められないのかもしれない
安倍晋三の戦争への狂気も
同じことなのだろう
南スーダンでは 安倍晋三の眼には
どんな風車が回っているのだろう?
2
風車の丘の上からは
地平線の果てまで
赤茶けた台地が広がっている
遥か彼方に人家の一群れ
その遠く左にもう一塊
丘の麓の取り入れの終った畑を
一台の耕運機が耕している
細かい土ぼこりをあげながら
3
もう一つの風車の町 カンポ・デ・クリプターナ
この町は 丘の斜面を家々が這いのぼり
その丘の頂上に 人家と風車が混然と立っている
風車には観光ガイドのような女性が待ち受け
見て行って と商業主義的に声をかけて来る
道の向うのレストランからは 年配の女性が
食事して行かない と誘う
「昼の定食ってあるの?」
「それはないわ」
アラカルトで法外な料金を吹っ掛けるのか
なぜか身構えてしまう
風車から外れたところに お土産屋があった
店の老婦人が出てきて話しかけて来る
達者な日本語だ
ビックリして聞くと
日本人観光客が多く 自然に覚えたのだと言う
あなたもエスパーニャ語がお上手ね
エスパーニャに住んでるの
いいえ 旅の者です
純朴そうなそのお店で
マンチャ地方特産のチーズを 二つ買った
京浜詩派 217号より
1
コンスエグラ
永年行ってみたかった風車の町
ホテルのベランダに出ると
丘を登る道のてっぺんに風車が見える
憧れていた風景が現実になる
心せきながら 坂道を登る
空が澄んでいる
この深い青はなんだろう
空の底が透けて見えているのか
石積みの円筒形の躯体を白く塗り固め
黒いブリキの円錐帽をかぶって
黒塗りの木枠の羽根を四つ伸ばしている
なぜ ドン・キホーテは
風車に突撃したのか?
その狂気は
毎年ノーベル文学賞の頃になると
「ハルキスト」が寄り集まって
受賞という狂気に駆られるのに似ているだろうか?
「狂気」は 止められないのかもしれない
安倍晋三の戦争への狂気も
同じことなのだろう
南スーダンでは 安倍晋三の眼には
どんな風車が回っているのだろう?
2
風車の丘の上からは
地平線の果てまで
赤茶けた台地が広がっている
遥か彼方に人家の一群れ
その遠く左にもう一塊
丘の麓の取り入れの終った畑を
一台の耕運機が耕している
細かい土ぼこりをあげながら
3
もう一つの風車の町 カンポ・デ・クリプターナ
この町は 丘の斜面を家々が這いのぼり
その丘の頂上に 人家と風車が混然と立っている
風車には観光ガイドのような女性が待ち受け
見て行って と商業主義的に声をかけて来る
道の向うのレストランからは 年配の女性が
食事して行かない と誘う
「昼の定食ってあるの?」
「それはないわ」
アラカルトで法外な料金を吹っ掛けるのか
なぜか身構えてしまう
風車から外れたところに お土産屋があった
店の老婦人が出てきて話しかけて来る
達者な日本語だ
ビックリして聞くと
日本人観光客が多く 自然に覚えたのだと言う
あなたもエスパーニャ語がお上手ね
エスパーニャに住んでるの
いいえ 旅の者です
純朴そうなそのお店で
マンチャ地方特産のチーズを 二つ買った
京浜詩派 217号より
岩泉の自然 佐々木 和善
岩泉の自然 佐々木 和善
森の木は 根をはり
水を もとめる
根の位置は だれも決められない
激しく降る雨
とてつもなく 降りつづく雨
沢をつくり
川へと 流れる生命の源
大雨のとき 川の流れは
人の思う通りに ならない
その位置も だれも決められない
ほんとうに 厳しい災害のとき
今までの川筋を 乗り越えていく
激しい雨が 降れば降るほど
濁流は 激流となり
奔放に 流れていく
水は 活きている
京浜詩派 217号より
森の木は 根をはり
水を もとめる
根の位置は だれも決められない
激しく降る雨
とてつもなく 降りつづく雨
沢をつくり
川へと 流れる生命の源
大雨のとき 川の流れは
人の思う通りに ならない
その位置も だれも決められない
ほんとうに 厳しい災害のとき
今までの川筋を 乗り越えていく
激しい雨が 降れば降るほど
濁流は 激流となり
奔放に 流れていく
水は 活きている
京浜詩派 217号より
秋の気配 豊 公子
秋の気配 豊 公子
サポーターが集まって
ニュースを届ける準備作業
ニュースを折る 帯封を巻く
宛名シールを貼る
作業はにぎやかだ
今月も何とかニュースを発行できた
ボーっと庭の木々を眺めている
いつの間にか葉の色が変わっていた
気が付かなかったのは
雨の日が続いたから
電話が鳴った
「帯封の住所が間違っています」
「ニュースにミスがあります」
現実にもどった
ニュースを届ける仲間の顔が浮かぶ
せっせと歩いて
自転車に乗って
杖を突いて配っている仲間
一人ひとりへの思いをこめて
配られるニュース
庭に目をもどす
モズが飛び立った
枝が一本ゆれている
(ニュース「あつぎ・九条の会」 16年11月号 初出作品)
京浜詩派 217号より
サポーターが集まって
ニュースを届ける準備作業
ニュースを折る 帯封を巻く
宛名シールを貼る
作業はにぎやかだ
今月も何とかニュースを発行できた
ボーっと庭の木々を眺めている
いつの間にか葉の色が変わっていた
気が付かなかったのは
雨の日が続いたから
電話が鳴った
「帯封の住所が間違っています」
「ニュースにミスがあります」
現実にもどった
ニュースを届ける仲間の顔が浮かぶ
せっせと歩いて
自転車に乗って
杖を突いて配っている仲間
一人ひとりへの思いをこめて
配られるニュース
庭に目をもどす
モズが飛び立った
枝が一本ゆれている
(ニュース「あつぎ・九条の会」 16年11月号 初出作品)
京浜詩派 217号より
花水川物語204 ライフワーク 府川きよし
花水川物語204
ライフワーク 府川きよし
ずっと暮らしている「ふるさと」
二、三冊の自作詩集に語らせている
遠い昔 と 今の物語
地元のこと 自分の体験を
書いてみたい とテーマを決め
「京浜詩派」の仲間に背中を押されて
発奮したのが 二〇年前
それは 還暦が近づいたころ
出来の良し悪しは 別にして
作品は 二〇〇を越え
ライフワークになった
たくさんの石ころの中に
たまに 光るものがあり
地元の友だちも 待っている
不思議と 種は尽きず
「花水川物語」は まだつづきます
「ふるさとは 遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの・・・」
と室生犀星は、愛憎と複雑な思いを、感傷と反抗心をこめて歌っている。
これは故郷を離れ、遠方にあって歌ったものではない。 苦闘時代に何度も上京し、 金沢へ帰郷した折に作った詩の一節。 ※
私の作品 感傷と反抗心が盛られていない
こんなに明るく 屈託のないものでいいのか
大先輩から 指摘されている弱点
どう 克服していったらいいのか
描写力が 問われている
ふるさとは 身近にありて思うもの
そして 楽しくうたうもの
未来を見つめて 考えるもの
※ 文芸評論家の「大岡信ことば館」より
京浜詩派 217号より
ライフワーク 府川きよし
ずっと暮らしている「ふるさと」
二、三冊の自作詩集に語らせている
遠い昔 と 今の物語
地元のこと 自分の体験を
書いてみたい とテーマを決め
「京浜詩派」の仲間に背中を押されて
発奮したのが 二〇年前
それは 還暦が近づいたころ
出来の良し悪しは 別にして
作品は 二〇〇を越え
ライフワークになった
たくさんの石ころの中に
たまに 光るものがあり
地元の友だちも 待っている
不思議と 種は尽きず
「花水川物語」は まだつづきます
「ふるさとは 遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの・・・」
と室生犀星は、愛憎と複雑な思いを、感傷と反抗心をこめて歌っている。
これは故郷を離れ、遠方にあって歌ったものではない。 苦闘時代に何度も上京し、 金沢へ帰郷した折に作った詩の一節。 ※
私の作品 感傷と反抗心が盛られていない
こんなに明るく 屈託のないものでいいのか
大先輩から 指摘されている弱点
どう 克服していったらいいのか
描写力が 問われている
ふるさとは 身近にありて思うもの
そして 楽しくうたうもの
未来を見つめて 考えるもの
※ 文芸評論家の「大岡信ことば館」より
京浜詩派 217号より
りんごのほっぺさん 古久保和美
りんごのほっぺさん 古久保和美
ラブレターをくれたのは
りんごのほっぺの小学校一年生
いつも火ようびにおしえてくれて
ありがとう
いつもゴムがかわいい
カズミせんせいだいすきだよ
私はポニーテールにシュシュをつけて
二ヶ月前から放課後の学習ボラをしている
その日は学校近くの公園で
持久走大会があったようだ
わたし 三九番目
後ろから二番
臆せず語る女の子
隣に座って宿題を出す
四時半まで校庭で駆け回っているようで
ほっぺは赤く
手はかじかんでいる
その冷たい手に触れてみる
寒くないよ
一桁の繰り上がり 繰り下がり
その指を折り曲げて答えを出す
ちょっと違うかな
あっ そうか
漢字もさることながら
ひらがな表記も飛んでいる
本当の名前はちがうんだよ
えっ
他の子どもがいる中で
母子家庭と宣言している
放課後の学童クラブ対応の子どもは
母子家庭が多いことを知った
自分が子どもを預けた記憶から
共働きと思いこんでいた
私になついてくれるりんごのほっぺさん
すくすくスクール すくすくとね
京浜詩派 217号より
ラブレターをくれたのは
りんごのほっぺの小学校一年生
いつも火ようびにおしえてくれて
ありがとう
いつもゴムがかわいい
カズミせんせいだいすきだよ
私はポニーテールにシュシュをつけて
二ヶ月前から放課後の学習ボラをしている
その日は学校近くの公園で
持久走大会があったようだ
わたし 三九番目
後ろから二番
臆せず語る女の子
隣に座って宿題を出す
四時半まで校庭で駆け回っているようで
ほっぺは赤く
手はかじかんでいる
その冷たい手に触れてみる
寒くないよ
一桁の繰り上がり 繰り下がり
その指を折り曲げて答えを出す
ちょっと違うかな
あっ そうか
漢字もさることながら
ひらがな表記も飛んでいる
本当の名前はちがうんだよ
えっ
他の子どもがいる中で
母子家庭と宣言している
放課後の学童クラブ対応の子どもは
母子家庭が多いことを知った
自分が子どもを預けた記憶から
共働きと思いこんでいた
私になついてくれるりんごのほっぺさん
すくすくスクール すくすくとね
京浜詩派 217号より
柚子の香り 洲 史
柚子の香り 洲 史
皮のある果物は 皮ごとかじった
皮があまりにも固い時は
歯で皮を剥いて まわりに吐き出した
梨も 柿も 庭や山にあった
自分で食べる分なら他家のものでもかまわなかった
手を伸ばして取って かぶりついた
林檎は 米を出して買ったものなので
少していねいに扱った
雪に放り出して 冷やしてから 食べた
東京オリンピックが開かれている
一九六四年十月十六日
中国ウイグルのロプノールで核実験が行われた
朝礼で 教師が言った
雨にはあたらないようにしましょう
果物や野菜は皮を剥いて食べましょう
中国からの放射能が心配です
中国から越後の山奥まで八千km
冬には時たま 黄砂を含んだ雪が降った
中国の核実験はその後 何度も行われた
果物の皮は 包丁で剥くようになって久しい
二〇一一年三月十一日
東日本大震災と福島原発事故
福島原発から横浜まで二百五十km
横浜にも雨が放射能を集めて降る
雨水利用施設などに放射能汚泥が蓄積した
あれから五年 二〇一六年
家の庭に柚子が十九個 黄金色に実った
柚子の皮を糸のように刻んで
かけうどんに入れる
匂い立つのは ただ柚子の香り
京浜詩派 217号より
皮のある果物は 皮ごとかじった
皮があまりにも固い時は
歯で皮を剥いて まわりに吐き出した
梨も 柿も 庭や山にあった
自分で食べる分なら他家のものでもかまわなかった
手を伸ばして取って かぶりついた
林檎は 米を出して買ったものなので
少していねいに扱った
雪に放り出して 冷やしてから 食べた
東京オリンピックが開かれている
一九六四年十月十六日
中国ウイグルのロプノールで核実験が行われた
朝礼で 教師が言った
雨にはあたらないようにしましょう
果物や野菜は皮を剥いて食べましょう
中国からの放射能が心配です
中国から越後の山奥まで八千km
冬には時たま 黄砂を含んだ雪が降った
中国の核実験はその後 何度も行われた
果物の皮は 包丁で剥くようになって久しい
二〇一一年三月十一日
東日本大震災と福島原発事故
福島原発から横浜まで二百五十km
横浜にも雨が放射能を集めて降る
雨水利用施設などに放射能汚泥が蓄積した
あれから五年 二〇一六年
家の庭に柚子が十九個 黄金色に実った
柚子の皮を糸のように刻んで
かけうどんに入れる
匂い立つのは ただ柚子の香り
京浜詩派 217号より
武力と金力 ―オスプレイの墜落 荒波 剛
武力と金力
―オスプレイの墜落 荒波 剛
迷彩模様の軍衣 在沖縄米軍トップ
右唇をやや引き揚げ 歪んだ口元を開き
暗い目の上 八の字に下がった眉寄せて
辺りを払う総司令官の矜持を支える
名護深浦湾沖合八〇〇㍍に墜落した
ばらばらの機体 乗務員は全員脱出
通称〝未亡人製造ヘリ〟の飛行兵器
これは墜落ではない 着陸したものだ
住宅上空を避けた飛行士は英雄であり
沖縄県民は 感謝しなければならない……
占領軍意識まる出し 信じられない言葉
三日後北の国の もう一つの大国大統領
世辞笑いを振りまく「宰相」に並んで
感情を押し殺した能面の顔で言ってのける
この領地は第二次大戦で戦い取ったもの
戦後の国際法上 帰属が決まっている――
既に歴史的決着が着いたもの と言い募る
千島列島と「北方四島」での経済協力と
査証なしの往来も認める替りに
島の帰属、復帰は諦めろと言う
不可侵条約を一方的に破棄して侵攻した側
領袖たちの都合のよい論理が罷り通る
これを正義と言うなら戦争は止む事がない
七十余年間も敗戦国に「基地」を押し付け
領土囲い込み 欠陥兵器事故の損害に対し
武力と金力を盾に屈服を求める野獣の論理
謝罪に代えて「感謝の心」を強要するなら
「昔の敗戦国民」との友好は創れない
京浜詩派 217号より
―オスプレイの墜落 荒波 剛
迷彩模様の軍衣 在沖縄米軍トップ
右唇をやや引き揚げ 歪んだ口元を開き
暗い目の上 八の字に下がった眉寄せて
辺りを払う総司令官の矜持を支える
名護深浦湾沖合八〇〇㍍に墜落した
ばらばらの機体 乗務員は全員脱出
通称〝未亡人製造ヘリ〟の飛行兵器
これは墜落ではない 着陸したものだ
住宅上空を避けた飛行士は英雄であり
沖縄県民は 感謝しなければならない……
占領軍意識まる出し 信じられない言葉
三日後北の国の もう一つの大国大統領
世辞笑いを振りまく「宰相」に並んで
感情を押し殺した能面の顔で言ってのける
この領地は第二次大戦で戦い取ったもの
戦後の国際法上 帰属が決まっている――
既に歴史的決着が着いたもの と言い募る
千島列島と「北方四島」での経済協力と
査証なしの往来も認める替りに
島の帰属、復帰は諦めろと言う
不可侵条約を一方的に破棄して侵攻した側
領袖たちの都合のよい論理が罷り通る
これを正義と言うなら戦争は止む事がない
七十余年間も敗戦国に「基地」を押し付け
領土囲い込み 欠陥兵器事故の損害に対し
武力と金力を盾に屈服を求める野獣の論理
謝罪に代えて「感謝の心」を強要するなら
「昔の敗戦国民」との友好は創れない
京浜詩派 217号より
象牙 久保 淫泉
象牙 久保 淫泉
明けやらぬ サバンナに
横たわる 象の屍
ハゲタカもハイエナも まだ気付いてはいない
湿気を帯びた 朝の空気
横たわる屍
牙を抜かれ
横たわる
象牙は
テロリスト達の資金源
やがて 象牙は
中国 日本の闇市場へと 流れて行く
陽が昇り
乾いた風が サバンナを熱くする
気付いた ハゲタカが 屍の上を舞い
嗅ぎ付けた ハイエナもやってくる
砂埃を上げ
先を争って 屍に喰らいつく
屍は骨となり
サバンナの土へと 還っていく
サバンナに夕陽の沈む 彼方
棒グラフの様な
ビルの群が
黒い影を落としている
京浜詩派 217号より
明けやらぬ サバンナに
横たわる 象の屍
ハゲタカもハイエナも まだ気付いてはいない
湿気を帯びた 朝の空気
横たわる屍
牙を抜かれ
横たわる
象牙は
テロリスト達の資金源
やがて 象牙は
中国 日本の闇市場へと 流れて行く
陽が昇り
乾いた風が サバンナを熱くする
気付いた ハゲタカが 屍の上を舞い
嗅ぎ付けた ハイエナもやってくる
砂埃を上げ
先を争って 屍に喰らいつく
屍は骨となり
サバンナの土へと 還っていく
サバンナに夕陽の沈む 彼方
棒グラフの様な
ビルの群が
黒い影を落としている
京浜詩派 217号より