年の暮れ 堀内 文子
年の暮れ 堀内 文子
この春 義母を見送った
四十年共に暮し
その半分以上介護の日々だった
師走の二十九日
人混みを外れ 川の土手に出る
遥か開けた水色の空
雲が微かに流れていく
川は午後の光を弱く反射して
ゆりかもめが飛び立ったり 浮かんだり
そのにぎやかな群れに人影が一つ
橋を渡ると桜並木
裸木の枝には小さな硬い蕾
図書館はシャッターが下りて
和菓子屋のケースには鏡餅が並んでいる
銀行で用足しをして バスで帰る
京浜詩派 217号より
この春 義母を見送った
四十年共に暮し
その半分以上介護の日々だった
師走の二十九日
人混みを外れ 川の土手に出る
遥か開けた水色の空
雲が微かに流れていく
川は午後の光を弱く反射して
ゆりかもめが飛び立ったり 浮かんだり
そのにぎやかな群れに人影が一つ
橋を渡ると桜並木
裸木の枝には小さな硬い蕾
図書館はシャッターが下りて
和菓子屋のケースには鏡餅が並んでいる
銀行で用足しをして バスで帰る
京浜詩派 217号より