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滅亡   久保 淫泉

滅亡   久保 淫泉

滅亡する
人類は滅亡する
物質文明のもたらす利便性を享受する
人類は滅亡する
物質文明のもたらす異常気象により
人類は滅亡する
人類は自ら作り出した兵器で殺し合い
滅亡する
人類は自らつくり出した核兵器を使い
滅亡する

生き物の多様性をうたう人類の作り出す物質文明では人類一種のみが繁栄している
人類のつくり出した物質文明はゾウやライオン シマウマキリン達 野性の生き物に誇れるものなのか
野性の生き物達全員がノーと叫ぶだろう
この星の理から外れ この星を作り変え 都合のよい生き物を家畜化し繁栄する 人類は滅亡する



京浜詩派 第220号(2017.12)より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

虚空    久保 淫泉

虚空         久保 淫泉

シリアの空は青く
無限の宇宙の暗闇へと続く突き抜けた
透明な青だ

大国の思惑が入り乱れもつれにもつれて
平和への道程は果てしなく遠い
テロリストと民主勢力が混在し
無差別な空爆学校も病院も女も子どもも見境なく 
国際法上禁止されたクラスター爆弾と化学兵器の使用それで戦争犯罪犯罪者が勝利すればそれが正義だ
平和は人々の嘆きと絶望 あきらめの先にあるのか
平和をもたらす神の教義は何処へ行った
神の教義を逆手に取り人々を束縛し拷問し殺戮する集団
同じ神を崇拝しながら憎しみ合い殺し合う

止まぬ空爆 銃声 砲撃音
泣き叫ぶ子どもを抱え血を流し逃げ惑い着のみ着のまま捨て去った故郷
そこに人々のくらしは無い四千年続いた人々のくらしが無い

青く澄み切った空の下
破壊し尽くされた街
累々と続く瓦礫の山
重く澱んだ静寂

瓦礫の下にどれだけの屍が眠っているのか 
生きながら瓦礫の下に埋もれ助けの声も抗議の声もあげられずに死んでいった人々
瓦礫の下に肉親の屍を残し故郷を追われ一筋の望みに縋り逃れた先に待ち受ける差別と偏見
そこで産まれる新たな憎悪と犯罪 争いの火種 終わりなき憎悪の連鎖
独裁者は 人々の血で大地をどれだけ穢せば満足するのか
神は どれだけの人々の嘆きの声を聞けば平和をもたらすのか

神はいずこに




「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

人間ファウスト      久保 淫泉  京浜詩派 第218号より

人間ファウスト      久保 淫泉


蒸気機関車が走って行く石炭を燃やし石油を燃やし核燃料を燃やし走って行く脱線したまま走って行くもうもうと黒い煙を上げ走って行く自ら霊長類と名乗る人類を乗せ走って行く人類の乗った車窓から見える空は北京の冬の空パリの空スモッグで煙り先が見えず繋がっている空何処へ行くのかわからず手にした利便性を手離なせずにいる人類を乗せ蒸気機関車は走って行くもうもうとまっ黒い煙を上げ黒い煙は空を汚し大気の温度を上げ両極の氷を溶かす両極から流れ落ちる深層海流の温度が上がれば海水面の温度も上がる温度が上がれば膨張し水面そのものが上がる繋がっている海水は南海の楽園の海岸線を浸食する優しい波音は人間ファウストと囁き時として荒れ狂い人間ファウストと叫ぶヤシの葉も風に揺れ人間ファウストと歌う汚れた空気は激しい寒暖差を生み世界各地に異常気象をもたらす寒冷前線は世界各地に記録的な大雪を降らせ立往生するトラックの列かと思えば世界各地で川の氾濫水びたしの家々人々の絶望とあきらめ自然の猛威の前には人は為す術が無い野生生物の乗る車窓から白い雲の浮ぶ高く澄み切った青い空が見える生き物達は笑ってる殺る者も殺られる者も笑ってる地球に生きる者全て誰かの命で生きている生きてる生命を繋いでるそれがこの星の理だから笑ってる地球の生態系の頂点にいる人類はその欲望の為に精霊の棲む森を焼き払い無数の命を奪う焼け跡から野生の生き物達は人間ファウストと叫ぶ無数の生命の煌めく地球で人類一種が欲望と憎悪で狂気に走り殺し合う終り無き欲望と憎悪の連鎖人類の乗った蒸気機関車は何処へ行く車輛の中は何時も何処かで戦争だ憎悪が渦を巻いている地球上の全生物を何度も絶滅させる量の核爆弾を積んで脱線したまま猛スピードで走って行く止まる事など頭に無い口では声高に世界平和を言うけれど武器を手放す事は無い野生の生き物達は言う人間ファウスト人間ファウスト



人間ファウスト      久保 淫泉  京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

象牙   久保 淫泉

象牙   久保 淫泉


明けやらぬ サバンナに
横たわる 象の屍

ハゲタカもハイエナも まだ気付いてはいない
湿気を帯びた 朝の空気

横たわる屍
牙を抜かれ
横たわる

象牙は
テロリスト達の資金源

やがて 象牙は
中国 日本の闇市場へと 流れて行く

陽が昇り
乾いた風が サバンナを熱くする
気付いた ハゲタカが 屍の上を舞い
嗅ぎ付けた ハイエナもやってくる
砂埃を上げ
先を争って 屍に喰らいつく
屍は骨となり
サバンナの土へと 還っていく

サバンナに夕陽の沈む 彼方
棒グラフの様な
ビルの群が
黒い影を落としている



京浜詩派 217号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

空       久保 淫泉(京浜詩派216号より)

空(くう)       久保 淫泉


テロリストは 聖戦の名の元に
人々を捕え
恐怖で束縛し
盾とし 地にはびこる
人々の絶望 涙と赤い血

砂塵は 舞い上がり
人間の有様を 吹き払おうとする
アッラーの微笑む 空は青い
透明な青だ

大国は 互いの主張を
繰り返し
繰り返す 空爆
テロリストも人民も 見境無く
繰り返す空爆
繰り返す不毛の会議
終わり無き 憎悪の連鎖

石の家は 壊され
瓦礫の山

子ども達の 泣き叫ぶ声
涙と赤い血が 入り混ざって

荒涼たる大地は熱く 人々の悲しみを飲み込み
空気は乾き 砂塵が舞い 空は青い

知恵を働かすことを 忘れ
武器を持ち
新たに蒔き散らす
憎悪の種

砂塵は舞い上がり
人間の有様を 覆い隠そうとする

アッラーの微笑む空は 青い
突き抜けた
透明な青だ

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

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