サラバの国から帰ってきた 

サラバの国から帰ってきた 
山田 南海江

南スーダンのジェバ
あの日 二〇一六年七月八日 朝七時
予定されていた道路補修は中止された
隊員は 
防弾チョッキとヘルメットで
宿舎に籠った

三時間後 
自衛隊の宿営地に隣接するビルに
反政府軍が 立てこもった
反対側に政府軍が 陣取った
宿営地を挟んで 実弾が飛び交った
監視塔を 直撃した
給水塔や倉庫に 食い込んだ

宿営地の横に進んできた 戦車から

反政府軍に向けて
戦車砲が撃ち込まれた
宿営地の建物が
バチーンと 
横にたたかれるように揺れた
「今日が私の命日になるかもしれません
 これも運命でしょう
 今日までのこと本当に感謝します」
震える手で 隊員は書いた
〝ここはアフリカ 自分の故郷が見たい〟
隊員は思った

三日目の七月一〇日 
隣に宿営するルワンダ隊に
市民が逃げ込んだ
反政府軍の兵士が 紛れ込んでいると
政府軍が攻撃した
市民を守るために
バングラデシュのPKOが 撃ちかえした
〝身を守るために必要なら撃て〟と
自衛隊員に 実弾が渡された

南スーダンは こんな国
命にサラバをする国
「戦闘行為はありませんでした」
国会で アベはうそぶく

二〇一七年五月二七日
自衛隊員が帰ってきた
あなたの大事な息子さんは
夜 うなされることがありませんか?
大好きなパパが
いつもイライラしていませんか?
愛する夫が
何も手につかなくて
終日 ボーっとしてはいませんか?

武器を持った自衛隊員には
市民は守れない
〝集団的自衛権行使〟 で
命を落とすのは まっぴらごめん
〝積極的平和主義〟では平和は守れない

実弾を手渡された隊員は
〝身を守るために撃ちかえせば
 市民の犠牲者が出る〟
と思った 
実弾は使われなかった 
憲法九条の精神が
七〇年間で心に沁み込んでいた



京浜詩派 第219号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

節約 山田南海江 京浜詩派 第218号より


節約           山田 南海江


安倍総理
あなたが年金を削るから・・・

家の中で 夜明るいのは
私の居るところだけ
暖房は 石油ストーブ 
ストーブ上は ガスレンジの代わり
煮豆ができる 昆布巻きも煮えた
布団の中は 湯たんぽ
電気代の節約

洋服は派手だから
着ないという義母のおさがり
セーターは 編み直し
ほどいて洗って 手編みにする

レタスの外葉は茹でて ゴマ油をかけ
醤油を ちょっとたらして
ハイ 茹でレタスの出来上がり
サトイモ ジャガイモ 
大根の皮 白菜のわくら葉
ごみ袋に入れて 密封
半年後に 立派な堆肥

節約は
もうとっくに 実行しています

その上で 日本には
「モッタイナイ」という 良い文化がある

“欲しがりません 勝つまでは ”
こんな時代に帰るのは 絶対ゆるしません



「節約」  山田南海江 京浜詩派 第218号より

テーマ : 詩・ポエム
ジャンル : 小説・文学

変身    山田 南海江 (京浜詩派216号より)

変身    山田 南海江

母親の衰弱を知らせる 妹からの電話
帰省はそこから始まった

新幹線から丹後への乗換駅
京都駅は 私の変身の場
帰ったら 母ちゃんのいい娘を
ひたすら演じてこよう へんし~ん

おむつをして横たわっている母ちゃんは
動くことができなかった
一日五回のおむつ交換
二、三口しか食べないお粥を煮て
三〇分かかって食べさせ
最後の介護となるだろう仕事を済ませた
一週間の親孝行は終わる

認知症があり 寝間から居間へ
いざって出てきていた
今迄の母ちゃんの介護度は 要介護度2
月に二回のディーサービスと
三日間のショートステイ
一緒に住む弟の 介護負担を軽くするため
精一杯の利用 月々一万円弱の負担額
二万五千円の年金から 情け容赦なく
保険料を 天引きで収めさせられる

要支援と 介護度1・2は
保険が利用できなくなる改悪
身体能力に見合わない軽い介護度認定
安倍政治の国家的詐欺を
運動で阻止しよう
その決意を確認して
京都駅で へんし~ん
            
           二〇一六・九・二九 

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