そして「共謀罪」 吉村 悟一
そして「共謀罪」 吉村 悟一
テーブルに原稿用紙を広げた
鉛筆で「共謀罪」と表題を書いた
そしてオレは固まった
マス目は一文字も埋まらない
どう書き始めたらいいかわからない
詩の切り口が見つからない
脇にある新聞を開いて
文字を拾い読みした
記事は詩になって歩いてこない
頭を抱えて三十分が経っていた
「共謀罪」を頭でひねくり回しただけ
オレは体ごとぶつかってない
わかったのはそれだけ
こんどは「共謀罪」に体当たりした
跳ね飛ばされて気がついた
オレの頭が眠っていた
目を覚まさねば駄目だともう一度
「共謀罪」の中に飛び込んだ
オレの指は動い始めた
凄味を利かした「共謀罪」
「計画・合意」「準備作業」をしたと
オレの「内心」を引きずり出し
これは「共謀罪」だ
オレの自由をぎりぎり縛って
令状なし 問答無用
あたりには監視カメラ 盗聴器
「共謀罪」があちこち威張っていた
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より
テーブルに原稿用紙を広げた
鉛筆で「共謀罪」と表題を書いた
そしてオレは固まった
マス目は一文字も埋まらない
どう書き始めたらいいかわからない
詩の切り口が見つからない
脇にある新聞を開いて
文字を拾い読みした
記事は詩になって歩いてこない
頭を抱えて三十分が経っていた
「共謀罪」を頭でひねくり回しただけ
オレは体ごとぶつかってない
わかったのはそれだけ
こんどは「共謀罪」に体当たりした
跳ね飛ばされて気がついた
オレの頭が眠っていた
目を覚まさねば駄目だともう一度
「共謀罪」の中に飛び込んだ
オレの指は動い始めた
凄味を利かした「共謀罪」
「計画・合意」「準備作業」をしたと
オレの「内心」を引きずり出し
これは「共謀罪」だ
オレの自由をぎりぎり縛って
令状なし 問答無用
あたりには監視カメラ 盗聴器
「共謀罪」があちこち威張っていた
「京浜詩派 第219号」(2017年9月発行)より